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(Reprint) Critical Review of Global Strategy in Japanese Small- and Medium-sized Companies: A Case of I.S.T Corporation that Dominated the Global Market

(再発行)日本の中小企業のグローバル戦略に関する一考察: 世界を制覇したI.S.Tの事例

  • Kang, Sangmin (Department of Contemporary Business, International Pacific University) ;
  • Kim, Changju (College of Business Administration, Ritsumeikan University) ;
  • Tanaka, Mikihiro (College of Business Administration, Ritsumeikan University)
  • Received : 2020.07.15
  • Accepted : 2020.08.25
  • Published : 2021.08.31

Abstract

競争が激しいグローバル市場において, 中小企業はどのようにして持続可能な競争優位を獲得するのかという問題を抱えている。 しかし, 中小企業のグローバル市場における経営課題や戦略の実態についてはわからないことが多い。 そこで本研究では, 日本の中小企業がグ ローバル市場でどのようにして競争優位を獲得することができるのかについて事例分析を通じて探ることを目的としている。 本稿で取り上げるのは, 事務機器 (例:コピー機およびプリンター)で広く使用されているポリイミドトナー定着チューブで世界最高のシェア (40%)を有する I.S.T (Industrial Summit Technology)である。 I.S.Tがポリイミドトナー定着チューブ製品の開発・販売を通じて, ど のようにしてグローバル市場の競争優位を獲得したのか, その歴史的な展開から明らかにする。 インタビュー調査からはI.S.Tが競争力のあるグローバルヒドゥンチャンピオン(Global Hidden Champion)になった主要な要因が, コアコンピタンス, 戦略的ネットワーク, リスクマネジメント, 従業員エンゲージメント, 創業者の起業家精神による従業員とのビジョンの 共有といった5つにあることが判明した。 企業の将来像を従業員と共有することはグローバルヒドゥンチャンピオンになるための第一歩である。 しかし, そのためには, 他社と差別化できる企業固有のコアコンピタンスをもたなければならず, それにはグローバル市場における際立った専門性を確立することが求められる。 一方で, 持続的な競争力を維持するためには, 外部組織との戦略的ネットワークを通じ, 経営資源の不足といった中小企業の弱点を補完すると同時に, 強みをさらに強化する必要がある。 このプロセスでは他社に強みを奪われないためのリスクマネジメントが重要となる。 また, 組織パフォーマンスに対する従業員エンゲージメントの影響の重大性を確認しなければならない。 従業員のエンゲージメントを高めるためには, 企業の歴史と個性に合った理想的な組織文化を構築する必要がある。 そうした組織文化は従業員に自身の創造的な発想を実現するような取り組みを促すことになる。

Keywords

References

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